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引きこもり支援鈍報 in はてな

珍しい食べ物が食べたい

人を殺す隠し味

食べ方 食べ物

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日の記事は体験談調に語っている「体験談をもとにした創作である。

 

引きこもりではあるがたまに外食へいく機会はある。
そもそも人の多いレストラン等で外食をするのは、あまり好きな方ではないのだが、やはり考え抜いてつくられた商品としての料理は美味しい

 

たとえ食材が冷凍食品で、厨房に居るのが新人の従業員だったとしても、店の管理者や本部の人間が、誰でも作れるように調整した調理方法と味付けで用意された商品は、料理下手なぼくがこしらえたものより、圧倒的に美味しい。

 

しかし、時々思う所がある。

 アレルギーを持つ知人

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今はほとんど交流が無いのだが、重度の食物アレルギーを持った知人がいる。彼は基本的に何でも食べる人間で、ぼくが用意した、どう考えても美味しくないオムライスもムシャムシャと食べ、奇麗にさらえる。

 

アレルギーには悩まされつつも、食欲と食への探求心は人一倍ある。

 

そんな彼と外食をしていたある日の事、いつも通り「すみません、アレルギー物質の書いてある表があったら、見せてもらえますか」、と彼は店員に尋ねる。店員さんは「少々お待ちください」と奥へ下がる。

 

「この1ステップが、面倒だが自分が今まで外食しながら何とか生きている理由だ」と、彼は語る。

 

食べ物なんて、何が入っているかなんて分からない。大手のコンビニエンスストアで販売されている揚げ物であれば、値段を書いてある表やPOP類にアレルギー原因物質の早見表などが記載されていることもあるが、よくよく読んでみると、「こんな商品にも、アレ入ってるんだな」って感想を持つこともある。

 

スーパーの総菜売り場に至っては、書いていない所だってあるし、そもそも自分で作る際、つかう調味料に原因物質が入っている事だってあるから大変だ。

 

昔と比べると、アレルギーを持っている人間にとっては、分かりやすい世の中になったと思う。大手の外食チェーンなどではWEBサイトにてアレルギー原因物質の表などを確認できるし、中には直接入ってはいないものの、混入する可能性のある同一のラインで製造している旨なども記載されている。

 ぼくの昔話

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ぼくは昔、ラーメン屋でアルバイトをしていたことがあるが、その時にあるお客様がぼくに訪ねてきたことがある。
「このお店のラーメンを茹でる釜は、他の麺類も茹でていますか」と。

 

当時、ぼくがアルバイトしていたラーメン屋の麺類は、ラーメンの他にも蕎麦とうどんを提供していた。すべて同じ釜で茹で上げていることを知っているため、当然ぼくは「そうですよ」と答えると、そのお客様は残念そうな顔をしていた。話を聞いてみると、どうやら蕎麦アレルギーを持っているらしい。

 

その時は店長と相談し、多少時間が掛かることを伝え、小鍋を沸騰させて、そっちでラーメンを茹でることで満足して帰っていただけたが、そのお客様がぼくに訪ねてこなかったら、危うく店は人を殺してしまう所だったのかもしれない。その日のうちに社長に連絡し、すべての商品のアレルギー原因物質の表示と、同一の茹で釜で茹でていることを、分かりやすい場所に明記するべきだと相談し、翌日は手書きで、数日後にはパソコンで見やすく作ったものを置くことができた。

 

ぼくがそういう対応をしたのも、先述したアレルギーの知人がいたからだ。彼がいなければ「アレルギーの恐ろしさ」、というのを軽く考えたままアルバイトをしていたのかもしれない。

 彼の昔話

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彼は学生時代、皆が給食を食べる中、1人だけ弁当を用意していた。理由は、給食の中に原因物質が入っている可能性もあるだろうし、もしその割合が多ければ朝食を摂取して以降、放課後の部活を終えるまで何も食べずに生活を送ることになるからだ。

 

そんな彼が、ある日、体中をに刺されたかのように、ブツブツだらけの姿になっていた。とても痒いらしく吐き気もすると言っていた。思い当たる、それらしい原因はわからないと言うが、弁当に使っていた調味料に原因物質の出汁が含まれていたのかもしれない。こっそりと誰かが持ち込んだお菓子を一緒に食べて、その中に原因物質が入っていたのかもしれない。彼自身も、どれが原因なのかは未だにハッキリわかっていないそうだが、彼はその日以来スナック菓子を食べないようにしているそうだ。

 

インターネットが普及して、いろいろな情報が入ってくるようになるとアレルギーに関する事故のニュースも見かける。とくに匿名掲示板なんかで見かける体験談などは、「好き嫌いなんかしちゃだめ」と子供に、アレルギー原因物質を食べることを強要する義両親との決別パターンなんかを読むことがある。

 

彼とその体験談について話をしていた時、「そういえば、決別したわけじゃないけど、昔母方のじいちゃんが作った漬物食べたら蕁麻疹(じんましん)が出ちゃって、じいちゃんが泣きながら謝ってきたな……」、と寂しそうな顔をして思い出を語っていた。

 

無理矢理食べさせられたわけでもなく、作った本人も原因物質を使っていることを忘れて、そのまま食卓に出していただけなのだが、作った本人も、孫を危険な目に合わせた事を後悔しただろうし、彼自身も、そんな気持ちにさせてしまったことを悔やんでいた。

 楽しかった外食のはずが

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外食の話に戻る。奥から出てきたのは先ほど質問をした店員さんとは違い、喋り方もベテラン風な人だった。「すみません、そういった表はございませんが、どの商品についての質問でしょうか」といった事を聞いてきた。彼はどうやら和風ハンバーグが食べたかったらしく、その旨をベテラン店員さんに伝えた。店員さんは「そちらの商品はお肉ですので大丈夫ですよ」と笑顔で答えると、彼も安心してそれを注文した。

 

お店を後にして、彼としばらく買い物を楽しんでいると、その最中のことだった。彼が突然苦しみだしたのだ。「少しトイレに行ってくる」と言い彼はフラフラとしながらトイレへ行った。心配なので、トイレの前で彼を待って居ると、どうも様子がおかしいので声をかけてみたのだが返事はない。ぼくは学生時代の彼に起こった出来事がふと、脳裏によぎり――もしかすると―― と思い、救急車を呼ぶことにした。必死にノックをしながら声を掛けると、彼はなんとか自力でトイレの内鍵を開けてくれた。とても青い顔をしている。

 

救急車が到着すると、彼はすぐさま病院に搬送された。隊員さんにはアレルギー症状が出ているかもしれないという事と、彼が食物アレルギーを持っていることを伝えておいた。そして搬送の邪魔にならないよう、少しあとから救急車を追っていった。

 

入院が決まり、翌日には容体も安定していた。病室で彼と、その両親と一緒に先日何があったかについて話していた。そして、倒れる前に、最後に食べたのが和風ハンバーグだったことも。

 

確認の為、お店に連絡をすると「すぐに向かいます」と回答があった。どうやら責任者の人が病室に来るらしい。ちなみにそのお店と病院はメチャクチャ近い。すぐに来るとのことだが本当にすぐに来た

 店員さんが来た

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病室に現れたのは店長と名乗るものと、その日接客をしてくれたベテランそうな店員さんだ。ベテランさんはその日、非番だったそうだがどうやらぼくたちの対応を終えて、片付けをしている最中に「ある事」に気付き、ぼくたちを探していたらしかった。

 

お店で使っている和風ソースが、ある材料を使って出汁を取っていたということを、ぼくたちが帰った後に知ってしまったらしく、店長さんにすぐ連絡をして、もしかしたらクレームが来るかもしれないからと、自発的に非番である翌日も店内で待機していたそうだ。

 

2人の土下座をする姿を見て、彼は申し訳なさそうに「やめてください、ぼくはそんなつもりで呼んだんじゃないですから」といって頭を上げさせていた。ベテランさんの顔が涙でぐちゃぐちゃになっていたのをよく覚えている。

 

アレルギー事故のニュースで話題になるような、企業や団体のイメージからくる偏見に汚染されていたぼくにとって、その光景は異様だった。店長さんは自分の監督責任だと必死に謝り、ベテランさんも自分の単独責任だと店長さんをかばう。彼の両親もお店に対する怒りなどとうに忘れ「呼んでしまったが故に、彼らを余計に苦しませてしまったのではないか」、と罪の意識をもっていたくらいだったそうだ。

 

損害賠償やらの話は、ぼくが立ち会うのは良くない事だと思い、席をはずすことにした。店員さんたちが帰った後、ぼくも彼に謝った。一緒にいてやりながら、何も出来なくて申し訳ないと。

 それからというもの

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その件以降も、彼との交友関係は続いていたが、たまに当時の話を振り返ることもある。その時彼はいつも「メシ屋で食べるときは、ちゃんと自分で注意しておかないと何が起こるか分からないし、自分だけじゃなくてそのお店にも辛い思いさせちゃうから、表のないお店では食べないことにしてる」と語る。

 

食材や調理方法がマニュアルでしっかりと管理された店などでは、そういった表を本部が用意してくれるものだろうが、お店の中には、そういった管理や注意が全従業員に行き渡っていないこともあるだろう。そういったところでアレルギーを持った自分が外食したことにも責任があるのだと彼は思っているそうだ。

 

ぼくは、「お店がそれぞれアレルギーに理解を深めて用意していれば、君も楽しんで食事ができるだろうし、君だけの責任じゃないだろう」というのだが、彼はそれを否定する。曰く「重度のアレルギーで悩んでいる少数の人間の為だけに、余計な労力をかけさせるのは申し訳ない、店側が最低限の注意さえしてあれば後はこっちでなんとかするべきなんだから。対応が難しい店なら、退店するべきだったわけだし」、だそうだ。

 

ただぼくは思う。隠し味として混入されているアレルギー原因物質について、全従業員にその知識が行き渡っていなくて、質問されても説明ができないような状態で、運営しているのは如何なものかと。

 

インターネットで検索すると、10年ほど前にも、ある米菓の隠し味に使われていた原因物質によるアレルギー事故もあったというニュースも見つけられる。義務付けられていた表示を怠るだけで、そういった情報を信頼して購入する消費者は事故を起こすのだ。

 

もちろん、自信や親族がアレルギー患者であれば、彼の言う通り自分でしっかりと気を張って食べる物を管理する必要がある訳だが、成分表示を徹底させる風潮になっている今、アレルギーを持つ消費者も信頼して手を出しやすくなっている世の中で、こういった危険な隠し味を隠したままにしてしまうのは、とても許されることだとは思えない。

 

辛い思いをするのは、誤飲してしまった患者のみならず、責任に押しつぶされそうな気持ちになる、そこではたらく従業員さんもだ。彼のおじいさんや、ベテラン店員さんのように。

さいごに

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しこの話を、未だに隠し味としてアレルギー原因物質を隠して提供している、外食産業や食品製造業の運営者さんたちに見てもらえるのならば、こういった事もあり得る話かもしれないことを心のどこかに置いていてもらいたい。自分で注意してさえいれば良いという彼の意見には反することではあるが、涙で顔がぐちゃぐちゃになったまま、必死で謝罪していたベテラン店員さんの事を思い出すたびに、そう思うってだけの話。

 

記事冒頭でもお伝えした通り、体験談調に書いているが、体験談を基にしたフィクションである。あと、余計な誤解を招きかねないことと特定につながることを避けるため、当該原因物質等は伏せておく。


ではでは

 

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