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引きこもり支援鈍報 in はてな

珍しい食べ物が食べたい

昔話「シンデレラ」が、ブロガー風にアレンジされて輸入されていたらこうなる

 

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しぶりにこのシリーズの執筆にかかる。
今回、タイトルのようにアレンジしたいと思った理由は、たまたまネットサーフィンをしていた時のこと。

 

いつものように昔話シリーズの元ネタ探しにふけっていると「シンデレラもええやん」、と思いwikipediaを漁ることにした。気になったのはそのwikipedia内での記述

 

日本におけるシンデレラ
日本に「シンデレラ」が紹介されたのは1886年に「郵便報知新聞」が発表した「新貞羅」や翌1887年に菅了法翻訳による「西洋古事神仙叢話」にある「シンデレラの奇縁」がある。 1900年に坪内逍遥が本名の坪内雄蔵名義で高等小学校の教科書用に「おしん物語」の題名で書いた。ここではシンデレラは名前を「おしん」とされ、登場人物や小道具なども日本風にアレンジされた。
 2017/1/30閲覧時、シンデレラ - Wikipediaより抜粋

 

この坪内雄蔵氏による、教科書用に書いたといわれる「おしん物語」、というタイトルがなんとも気になったからだ。

 

原文や写したものの閲覧は叶わなかったが、検索してみるとどうも、かなり和風にアレンジされているらしく、キュレーションサイト等でもまとめられている。少し話題性があったのだろう。

 

今回アレンジ元にしようとおもっているシンデレラは

アンドルー・ラング再話 Andrew Lang 大久保ゆう訳 シンデレラ CINDERELLA, OR THE LITTLE GLASS SLIPPER ―ガラスのくつのものがたり―

だ。

 

上記URLはアンドルー・ラング(1889年)"Cinderella, or the Little Glass Slipper"の翻訳・青空文庫版である。当然ながら原作ではないが、シンデレラにあまり詳しくないブロガーであるぼくがなんとなくシンデレラってこんな話だったって思ったものと合致するものだったので採用する。

 ブロガーまみれのシンデレラ

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むかし、あるところに男性ブロガーが居た。男性ブロガーは、ある女性ブロガーと2度目の結婚をしたのだが、その女性ブロガーはいつも偉そうで、とてもお高くとまっている人だった。女性ブロガーも結婚は2度目で、前の夫との間に2人の娘を設けていた。彼女らはきまぐれで、その女性ブロガーに何から何までそっくりだった。

 

男性ブロガーにも、前妻との間に1人の幼い娘を設けていた。その子は誰よりも思いやりがあり、世界一美しい心の持ち主と言っても過言ではないくらいだった。

 

結婚式がおこなわれるまでもなく、継母は本性をあらわし始めた。幼いこの娘がいると、自分の娘たちがみじめになると思い、酷く邪魔に思えた。そこで少女をひどくみじめな仕事につかせようと考えた。

 

Twitterで中身のないフォロ爆アカウントを量産させ、自分や娘たちのアカウントをめいっぱいフォローさせた。部屋もみじめにしてやろうと、ブログに閲覧制限を付けてnofollow属性にし、Twitterも鍵アカにさせた。フォロワーもアンチしか居なく、タイムラインには誰も見ていないリツイートがどっさりと並んでいるだけだった。

 

自分の娘たちには、何を投稿してもはてブがつきまくるブログに住まわせ、デザインも一流のデザイナーが手掛けた流行りのテンプレート。google検索では何を書いても検索上位にくいこむほど、それはそれは立派なものだった。Twitterのアカウントは多くの有名人にフォローされている。

 

可哀想に、少女は我慢するしかなかった。たとえ父親のもとへ行っても「いま、SEO対策で忙しい」と、とりあってくれなかったからだ。聞いてくれたとしても、父親は継母の言いなりで、どうしようもなかった。

 

少女は仕事が終わると、いつも炎上して燃え残ったアカウントの跡地にいた。そこは未だに罵詈雑言の飛び交うクソリプだらけの燃えカスのようなアカウントで、いつもその中で呟いていた。そのため皆は少女の事を「灰むすめ」と呼んでいたが、ネットで多少の知識を付けていた下の方の姉は競合するワードを意識して「灰かぶりひめ」を意味する「シンデレラ」という名前を付けた。

 

シンデレラは燃えカスのアカウントのせいでとても汚かったが、ツイートのセンスは姉たちの100倍くらいあり、姉たちがいくら上手い絵師にアイコンを描いてもらおうと、とてもかないっこない。

 

あるとき有名男性ブロガーがオフ会を開くことになった。著名な投資家や芸能人などもたくさん招かれた。シンデレラの姉たちも、有名な絵師に描いてもらったアイコンと父親の努力のおかげで声が掛かった。姉たちは大喜びで次の記事の写真はどういうものにするか、どんなコスプレをしようかと悩み始めた。

 

シンデレラにとっては面倒なことが増えただけ。衣装の調達もしなければならないし、オフ会参加決定記念記事の写真も撮らなければならない。全部シンデレラの仕事だった。それに引きかえ姉たちは、朝から夜までどんなブロガーとオフパ〇すればいいかしらと喋るだけだった。

 

シンデレラが衣装を整える間に姉たちは言った「シンデレラ、あなたはオフ会行かないの?」

 

「御冗談を、お姉さま。わたしが行くなんてとんでもありません」
シンデレラは悲しく微笑んで、そう答えた。

 

そういうシンデレラに2人は「せやな」と返す。

 オフ会当日ですけども

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そしてついにオフ会当日。2人はブロガーの集まるシェアハウスへ出かけていった。シンデレラは遠ざかる2人を見つめていた。2人の姿がみえなくなったとき、悲しくなって泣き崩れた。

 

そのとき、シンデレラにとって数少ないアンチ以外のフォロワーが、病んでるツイートを見て「どうしたの」、ときいた。
「わたし、わたし、ほんとうは……」


シンデレラは文字数制限でここから先は書くことができなかった。要らない情報を含めすぎて、必要な情報が出てこない。

そんなシンデレラを見ていたこのフォロワー、実は有名な炎の能力を自在に操るブロガーだった。

 

「知名度も何もないブスがオフ会に行ったところで、男性ブロガーに優遇されることはまずあり得ない。王朝絵巻さながら絢爛豪華に彩られた食卓で産業破棄物を陳列するようなもの。――でも君はオフ会に参加したいんだよね? 君は首の気管が圧追され、か細い呼吸のような呟きしかできないゴミアカウントの所有者である自身が、参加意思を表明することに慄然としているのだ」

 

何が言いたいのか良く分からなかったけどシンデレラは「はい……」とリプライを飛ばした。フォロワーは「了解ですぅぅぅぅっ!!」と返すとシンデレラにDMを送り付けて言った。「通知を漁って、クソリプを拾って来てくれるか?」

 

シンデレラはすぐに、通知の中でも一際目立つ、ひどい長文クソリプをいくつかコピーして、DMで貼り付けた。でもシンデレラは、このクソリプをどうにかしてオフ会に参加できるものなのか、まったく想像が出来なかった。

 

フォロワーは、クソリプをほじくりかえして、ネガコメのみを取り出した。そのあと短い時間でキーボードをちょんとつつくと、クソリプは立派な炎上記事にかわってしまった。

 

それからフォロワーは、頭の悪そうな人たちが集まるコミュニティへ行き、少し暴れると、アホが6人ほど釣れた。シンデレラはフォロワーに言われるがままそのアホをフォローしてリプを送った。するとクソリプがぴょんぴょんと1通ずつ飛んできて、フォロワーはクソリプがぴょんと飛べばキーボードで叩き、出てきては叩きを繰り返し、あっというまに6人のアホは信者に変わっていた。

 

フォロワーは、シンデレラに言った。「ほら、これでオフ会に出ても恥ずかしくないくらい信者とアンチが揃っただろう。ん、嬉しくないのか?」シンデレラはぽかんとしていたが、「あ、は……はい」というとあることに気付いた。
「でも私、こんな汚名だらけのアカのままオフ会になんていけない……」

 

そこでフォロワーは、キーボードを叩き、働く女性たちに有益な情報を発信する現役キャリアウーマンブロガー風なアカウントを作ってしまった。さらにフォロワーはシンデレラに一足のスリッパを送った。今ブロガーの中で話題のスリッパだ。

 

フォロワーは最後に、シンデレラにある注意をした「オフ会を楽しむのはいいけど、あまり長引かせてしまうことはお勧めしない。もしダラダラとTwitterで近況報告なんて続けていたらアンチも信者も飽きてしまい、アカウントも凍結されてみんなもとに戻ってしまう」、と。

 乗り込んだ有名男性ブロガーのオフ会にて

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有名男性ブロガーは、話題沸騰中の女性キャリアウーマンブロガーがくると聞き、それを迎えようと、さっと出てきた。すると会場は静まり、あたらしくやってきたキャリアウーマンブロガーを前にじっと見つめることしかできず、やがてざわつき始めた。

 

「あいつ、めっちゃ炎上してたけど信者も多いぞ……」
「あの人のブログ、極論しか書かないけど1文1文に説得力があるよな……」

 

有名ブロガーの父親はかなりの年だったが、遊んでばかりのニート系アフィリエイターみたいな人か女装男子しか居ないと思っていたブログ界隈に、こんなに働き続ける自己主張の強い女性がいることにびっくりした。

 

会場に居た女性ブロガーは皆、ブログの男性蔑視スタイルがあまりにも鋭いので、次の日に真似してみようと、そっとコピーしていた。

 

有名男性ブロガーはシンデレラを、オフ会の主役にする席に連れていき「ってか、lineやってる?」、と言って連絡先を聞き出そうとしていた。みんながうっとりするほどシンデレラの発信する情報は有益だった。スマートニュースにも載った。キュレーションサイトにも転載された。美味しそうなレビュー記事用の新作カップ麺が出されても、有名男性ブロガーはシンデレラの顔をじっと見つめて、ひと口も食べなかった。

 

シンデレラは姉たちの隣に座り、丁寧にあいさつをして、有名男性ブロガーから貰った、これまたレビュー記事用のよくわからない充電器みたいなやつを分けてあげた。2人の姉は充電器だと気付かず、とてもびっくりしていた。

 

近況報告を重ねているうちに、そろそろ潮時だと悟ったシンデレラは、そそくさとオフ会を後にした。

 

帰ると、自分のリアルアカウントでフォロワーに報告とお礼をした。フォロワーのブログもfacebookで拡散しておいた。そしてシンデレラにはもうひとつ、フォロワーに伝えておきたいことがあった。それは明日もオフ会に参加したいという事だ。というのも、男性ブロガーが明日も参加してほしいとlineしてくれたからだ。

 

シンデレラが楽しそうにフォロワーとDMをしているとき、姉たちがクソリプを投げつけてきた。「……なんですか」と、誰が見ても根暗な少女にしか見えないツイートで返事をした。

 

下の姉が言った
「あなたもオフ会に参加していたらこんなに退屈することは無かったでしょうに。 ……なんてね。突然今話題のキャリアウーマンブロガーが現れたのよ。見たことが無いくらい素晴らしい語録ばかりで、私たちにもハイテクそうな置物をくれたの」

 

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シンデレラは面白くないふりをした。充電器を未だに置物だと思い込んでいるくだりは、笑いも隠せそうにないくらい面白かったが真顔だった。でも一応、ブロガーの名前は何というのと聞いておいた。2人は

 

「名前は知らないけれど、有名男性ブロガーは首ったけだったわ。あの男性ブロガーなら、女性ブロガーの名前を聞く為だけにアカウントとパスワードを与えかねないわ」

 

と言っていた。このときばかりはシンデレラも流石にクソワロタ。

 

翌日、姉たちはオフ会へ出かけた。当然シンデレラも行った。昨日のオフ会の時よりももっと理論武装していった。男性ブロガーはいつもシンデレラのそばにいて、結構気持ち悪いポエムを読み聞かせていた。メモしているとクソ面白かったので、ついつい長居しすぎていた。そろそろ潮時なのだろうか…… とぼんやり思っていると、気が付いたらアカウントが凍結されていた。

 

シンデレラはびっくりして飛び上がり、会場を飛び出していった。有名男性ブロガーは必死になって追いかけたけれど、シンデレラは既に行ってしまった後だった。lineもブロックされている。けれどシンデレラのスリッパが片方だけ残っていた。

 

有名男性ブロガーはそっと、スリッパを履いてみた。

 魔法が解けて

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シンデレラは息を切らしながらなんとか家に帰った。アカウントは見事に凍結され、ブログも、はてなから追放処分。ただ、会場で落としたスリッパの片方だけが残っていた。

 

やがて2人の姉も帰って来た。シンデレラは「オフ会は楽しかったですか、またあの素敵なブロガーはいましたか」、と聞いた。2人は「居た」と答えた。でも急に飛び出していって、スリッパを落としていったのよ、と。

 

「とても快適なスリッパで、有名男性ブロガーさんが拾ったの。だってオフ会の間中、ずっと粘着していたんですもの。当たり前のことだけど」、と続けた。そして最後に、あの有名男性ブロガーは一目ぼれしたに違いない、と付け加えた。

 

2人のいった事は、まさにその通りだった。数日後、はてブが1万くらいついた記事があって、ひろったスリッパのレビューが完璧な女性を花嫁にするというエントリだった。

 

有名男性ブロガーの金魚の糞達は、いろいろなブロガーにそのスリッパの紹介記事を書かせた。それから色々な主婦ブロガーや、JDブロガーにも書かせてみたが、どれもしっくりこなかった。

 

スリッパはまわりにまわって、シンデレラの家にも来た。姉たちは何とかレビュー記事を書こうとしたが語彙力が無さ過ぎてクソつまらなかった。シンデレラは横で見ていて、スリッパがフォロワーから貰ったものであると気付いた。

 

「わたしもレビュー記事を書いてみても、いいかしら」

 

2人の姉たちは、ぷっと吹き出してシンデレラをからかった。しかし金魚の糞達は「書いてみろ、誰でもいいから試せと言われているので」と言った。

 

シンデレラはスリッパを手に取り、まずニオイから嗅いでみるとこう言った。

 

 

「くっさ」

あとがき

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レンジ元の出典を明かす必要があったのだろうかと思うくらいの改変ぶりに、正直キーボードを叩く指が止まりそうになる。完全にネタが付きかけている本シリーズも、いよいよ5作目がこうやって完成してしまったわけだが、今回も一部の層にしかピンと来ない内容である。

 

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ブログ知識もネット知識にも疎いぼくが、この記事を書き上げるのは少し骨が折れたが、有名童話の改変は、やってて楽しい。今回はちょっとキャラクターの参考にid:buzama-www_pipipipipi氏を少し意識した設定のキャラを入れさせてもらった(すみません、勝手に。。。)。

 

らぬ誤解を招かぬよう紹介させていただくが、ハッキリとした主張と、読者を楽しませるワードセンスにいつも感心させられているブロガーさんだ。読みごたえがある。

 

冒頭でも述べた通り、和風シンデレラ「おしん物語」の全文を閲覧したことは無いのだが、いつか読んでみたい興味深いものだ。ガラスの靴の代わりに扇子やら、魔法使いの代わりに弁天様やら、どう考えても面白い。脳内BGMもたぶん和楽器一色になることだろう。

 

いつかそれを読める日を楽しみにしている。

 

ではでは

▼アンドルーラングの童話集が気になった人はこちら

あおいろの童話集 (アンドルー・ラング世界童話集 第1巻)

あおいろの童話集 (アンドルー・ラング世界童話集 第1巻)

 

 


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