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珍しい食べ物が食べたい

雑学を常識に昇格させるアタリメリストたちの作り出す社会

こんにちは

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100万回くらい説明されてもサッカーのオフサイドを理解できない人、ぼくです。

 

皆さんは自分の"常識"とやらに自信はありますか? ぼくはそんなもん持ち合わせていないです。勉強不足もありますが、他人の趣味であったり流行に関して興味を示すのに時間のかかるタイプの人間でしたので、いつも非常識な行動をとった後に「いや、それくらい知っておけよ」だなんて言葉を浴びせられます。

 

常識だの正義だの当たり前だのずっと聞かされていると、この世界で生きていくには知っておかなければならないことが沢山あるんだなあって痛感しますね。たぶんですけど、そういう言葉を一切かけられたことのない人ってのも稀なんじゃないのでしょうか。

 

「常識だろ」「知ってて当たり前だから」って言われるたびに皆さんは何を感じるのでしょうか。ぼくは言われて不快にしか感じたことが無いので、すくなくとも直接他人にはこの魔法の言葉をかけたことがありません。

 

最近話題になったことを例にするならば、お辞儀の仕方といったところでしょうか。マニュアルに書かれている通りなのかどうかは知らないけれど、お腹に両手を当ててかるく腰を曲げるポーズをとるタイプのお辞儀が、日本古来の文化を壊していくうんたらかんたらと、非常に怒っていらっしゃる方々をTwitterでチラホラみかけます。

 アタリメリストは知識人に見られたい

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くはそもそも正しいお辞儀の仕方なんて知らなかったので、少し興味深いなと思ったくらいでしたね。

 

アルバイトで接客を経験したこともありますがお辞儀なんて丁寧なこともロクにせず「ラッシャーセー」「アリガトーゴザーマーマタオコッシャッシャッセー」と流れるように捌いたことしかなく、接客マニュアルだなんて初日に読んだふりしてほぼスルーって感じでしたから、日本文化がどうこう言っておられる方々よりも、自分を神様だと信じて疑わないお客様各位に激怒されても仕方ないであろうレベルの知識しか持ち合わせていませんでした。

 

さておき、これも話題になれば、その知識は世間一般で共有されていつしか「知らない奴は売国奴だ」とまで言う者が現れる過熱ぶりをみせることになる可能性もあると思います。そうした知識が常識化した社会で、ぼくのような低次元な接客スキルしか持ち合わせていないアルバイトが、作法を教えてもらえないまま「お腹痛いポーズ」だなんて取ろうものならアタリメリスト達による熱烈な歓迎を受けることになるでしょう。

 

いつの間にか得ていた知識をもとに、何か間違いを犯した者へアドバイスを送る博識なネットユーザーがいます。
その人はどんな気持ちで発言しているのか、などを知り得ることは出来ませんが、あまり知られていない、広まっていない情報をもってその人に出来る限りの助言を与えて去っていきます。

 

さて、このインターネットの片隅に残された残骸である助言に食らいつくのは、ぼくのいうアタリメリストの方々です。

 

彼らは驚愕したことでしょう。自分の中での「常識」とやらが一瞬のうちに覆されてしまったのですから。しかしそれを「初めて知った」と素直に言う事などできない。

何故ならば、彼らは自分に対して「知識人である」というブランドイメージを持たせていなければ迫害され続けるかもしれないといった強迫観念にとらわれて生き続けなければならないという、過酷な運命を背負ってしまったからなのです。

 

彼らはそんな、知っている人は知っている程度の雑学めいた情報を「常識である」とし、あたかも自分は昔から知っていましたアピールをすることによって、知らない人は知らない雑学を「この程度、知っていて当たり前だと思っていたよ」と言う事によって「この人は優れた教育を受けていた」という印象をもたせたくて仕方が無い。


彼らの自己顕示欲は、たとえついさっき知ったことであったとしても「昔から知っていた話、当たり前だと思っていた」と、赤の他人に告げることによって満たされていくのです。

アタリメリストはマナーに厳しい

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識」と聞いて真っ先におもいあたるのはマナーです。これは知っていないことにより、知らず知らずのうちに相手方に対して失礼な行動をとってしまう恐れがあるからです。常識に明るいアタリメリスト達は築き上げられたブランドイメージが自らの非常識な行動によって崩壊してしまう事を何よりも恐れています。

 

知っている人は知っている程度の雑学めいた知識を「常識」と言うことによってブランドイメージを築き上げてきたアタリメリストたちは、先ほどの「お辞儀のしかた」のような情報であったり、日常会話で目上の人間に対して実は使ってはいけない、使ってしまいがちな言葉シリーズに代表されるような知らない人は知らないマナー対してとても敏感です。過去に自分もその間違いを犯していたという事実を思い出そうものなら彼らはアナフィラキシーショックで死にます。

 

彼らの、その「雑学めいた知識が常識」であるというスタイルは、「意外と知られていないマナー」を破った人間に対して執拗に攻撃し続けるという行動に走る理由を与えています。

彼らにとって、意外と知られていないマナーというのは常識であり、それを犯すものは非常識な人間であるため、それを叩かなければ「この程度、知っていて当たり前だと思っていたよ」という彼ら特有の知識人アピールが薄っぺらいものになるからです。

 

マナー違反者を叩くのが当たり前のことのようになっているインターネット世界でマナー違反者を叩かないことは非常識であると思い込み、叩かなければ彼らは先述の強迫観念から、自分が常識人であるためには、知らない人は知らないようなマナーであっても叩かなければ自分の「常識だと思っていた」という発言が嘘になる。だから叩かなければならない。そして叩く。この行為をぼくはメーショニングと呼んでいる。

 

メーショニングしていくことによって彼らのブランドイメージが更に磨きあげられていくのです。
この広い世界の片隅で、マナー違反をしてくれてありがとう。

 

だから、アタリメリスト達はマナーに厳しい。

 

アタリメリストは専門家が怖い

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タリメリストの方々は、産まれつき教えられていたのか、さっきググったのか、よく分からない情報を頼りに無知な人間へ暴言を浴びせることで生活をしています。その収入源は一切不明である。


そんなアタリメリスト達は法律分野にも明るい。
彼らにとって法律知識とは最も手軽に知識人アピールができる最強のネタなのです。ググれば条文も裁判例も判例も出てくる。国内の法律であれば日本語で書かれているうえ生活をしていくために殆どの人が関わらずに避けて通ることができない注目度の高い知識ですので、情報を見つけ次第積極的に吸収していきます。

 

そうして得られた膨大な法律関係の情報の中のほんの一握りの知識を持って、彼らは日々、知識人アピールに勤しみます。マナーの件でも述べたことは、彼らが法律分野に明るくなることにも繋がっていて、知る人ぞ知るマイナーな法律知識を「メーショニング」していくことによりブランドイメージを屈強なものにしていきます。

 

そんな彼らの天敵はガチの法律クラスタなる人間なのでしょう。
何も考えずに情報提供者の発言を鵜呑みにしたアタリメリスト達は最初の情報提供者とwikipediaを絶対的に信頼していて、本来その情報に帰結するために前提となる知識を知ることもなく、早とちりして応用編まで用意してしまいます。この応用編が、アタリメリスト初心者の首を絞めていくことなど知らずに……

 

「ただちに、速やかに、遅滞なく」「みなす、推定する」「取り消し、無効」
勉強してこなければ違いなんて良く分からない言葉の意味の違いに厳しい、過酷な世界で生き抜いてきた彼らにとって、アタリメリスト初心者による「これくらい常識でしょ」というオーラを纏った情報の真偽を見分けることは、電子レンジのスタートボタンを押すくらい簡単なことなのです。

 

そんなアタリメリスト初心者によって独り歩きしていく情報は、やがて法律クラスタなる人たちの目に留まり、鋭い指摘を受けてしまいます。

 

法律知識を持っていることをアピールしていきたいアタリメリスト初心者が安易に法律知識に関する話を持ち出そうものならば、ガチな法律クラスタなる人間の鋭い指摘により化けの皮があっというまに剥がれて引退へと追い込まれることもあります。当然、その場でアナフィラキシーショックを起こして死にます。

 

だから、アタリメリスト達は法律クラスタが怖い。

アタリメリストが作り出す世界の常識

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タリメリストが世間話をするとき、アタリメリストは今まで自分が知り得なかった情報をその会話の中で得ることがあります。そして彼らは自分の隣にいるひとが本物の知識人なのかアタリメリストなのか、ただの人間なのかを区別する手段を残念ながら持ち合わせてなどいないため、その人が発言した情報を「知っていなければ恥ずかしい事なのかもしれない」と勘違いします。

 

自分は昔から知っていたことにして、自然に対談相手と対等若しくは上くらいの知識を持っている事にしておかなければアタリメリスト達は枯れ果ててしまいます。
彼らの根底には「少なくとも一般人なんかより優れた教養を受けていて知識もある人間として認められていたい」という願望が見え隠れしているのはここまで読んでいただいた方々なら容易に想像ができることでしょう。
だから彼らは一般人かもしれない対談相手より知識が薄いということが露呈してしまう事を恐れているのです。

 

アタリメリストは昨日知った話を、あたかも昔から知っていたことにするスキルが非常に高レベルです。一部の知識人しか想像することのできなかったような事件に関するニュースを一緒に見ていた人に対しても「前々からこうなることは目に見えていたけどね」とアタリメリストなら当然のように語ります。メーショニングの応用ですね。

 

その姿を見た他のアタリメリスト達は、自分もその人と同じレベルの知識を持っていることにしたいがために、良く分かっていないまま「ああ、ぼくも知っていたよ」と、ヌルっ出現します。これをアタリマエミラー現象と言います。

 

このアタリマエミラー現象はあっというまにアタリメリスト達に察知され、あれよあれよという間にアタリメリスト達の「常識」を知る者たちが増えていきます。知る人ぞ知るレベルの雑学めいたそれっぽい知識はこのアタリメミラー現象によってシェアされていくのですね。

 

この現象で拡散された知識はSNSやブログを通じてあっというまに広がり、メディアでもとりあげられ「知らなければ恥ずかしい、〇〇」みたいな見出しで強調されて一般人にも知れ渡ります。その火種を確認していない一般人は「ああ、常識だったんだ。ちゃんと覚えておかないと恥かいちゃうな」とこれからの自分の為にその知識を身に付けていきます。

 

こうして、アタリメリスト達は常識を作っている。

 

さいごに

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いままで知らなかった、誰にも教えてもらえなかった事を知ることができるのは非常に気持ちが良いものです。あまり広まっていない豆知識なんかを話のネタにして「へー、そうなんだ」って盛り上がるのも楽しいですよね。2chなんかの雑学スレとか見ていると、そんな気持ちになってよく1人で盛り上がっています。

 

でもそんな、見ていた僕だけが盛り上がっていて大して伸びなかったスレに書いてあったような雑学が、時を経ていつの間にか皆知っている状態になっているのは何でなんだろうな、と考えた時に「こんな人たちが居たら面白そうだな」と思って書いてみました。

 

思い付きで朝から書きなぐっただけの記事ですので、なんの的も射られていないような話になってしまいましたが、身近にこういう人が居たら、もしかするとアタリメリストなのかな? って考えてしまうようになるのかも知れないって書いている最中にフフってなりました。

 

ではでは

 

▼知らなければ恥ずかしい? アタリメリストのお勧めする記事

hikishiendonho.hatenablog.com

 

 

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 ▼あたりめ

 ▼常識を知りたい人が読む本

大人の博識雑学1000 (中経の文庫)

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